酒蔵がある全国の自治体を中心に「日本酒で乾杯をする条例」が広まりつつある。しかしそれ以前からも密かに日本酒で乾杯をすすめている人々がいるとかいないとか。今回は一風変わった形式で日本酒での乾杯を提唱する一人の若者に話を伺ってみた。
SAKE MUG STYLEを提唱する男
我々取材班はある居酒屋で”変わった”飲み方をするG氏と出会った。店に通って3度目程だっただろうか、互いに顔見知りの仲になった時ふとしたきっかけで話すようになった。G氏の酒への想いや、”変わった飲み方”について聞くことができた。今回はそんなG氏との会話の一部をご紹介しよう。
------全国の自治体で日本酒で乾杯を推進する条例が生まれていますが、Gさんにとっても追い風になるのではないしょうか?
G氏 何とも思っておらんよ。まあでも俺の方が先やで。
-----なぜMUG STYLEなのでしょうか?
G氏 飲み会やらでみんなビールジョッキで乾杯するやろ?そんな中一人だけこんなん(MUG STYLE)がおったら(みんなから)注目されるやん?「何かへんなやつおるぞって」。そしたら日本酒に興味持ってくれるもんが出てくるちゃうんかなって思って。関西育ちやし、なんか人と違うおもろいことやりたいってのはいつもあるんやけどな。
-----なるほど・・・。「日本酒を普及させたい!」という想いがあるんですね。
G そんな大層なもんちゃうよ。自分が日本酒好きなんがそもそもやけど、日本酒って色々な種類あるしそれについて「この酒は、辛口やしこんなん(料理)に合うな〜」とか話しながら飲んだら楽しいやん。ただ学生の頃いった飲み会ではみんな甘いの(酒)飲みながら、「あのサークルの女の子可愛いな」とか「どういったん(異性)がタイプか」みたいなこと話してばっかりや。「異性の好み語るんなら酒の好み語れや!」て内心思ってたね。まあ何を話すかは個人の自由やけど自分にはそういった(酒のことを語る)仲間はおらんかったな。
------これからもSAKE MUG STYLEを続けていくのですか?
G せやね、当分の間続けるやろうなぁ〜。 ただあまりにもポピュラーになりすぎたらおもんないし、そんときは新しいやつ考えるわ。
G氏は酒を飲み干すと早々と店を去って行った。おそらく二軒目でもSAKE MUG STYLEをすることだろう。彼はエンターテイナーなのだ。彼は周りからの好奇の目を承知で、己の精神を削りながらSAKE MUG STYLEを貫いている。そう、自分と同じ仲間を捜すために。仲間を捜すならもっと効率的な方法があるだろう、しかし不器用な彼がたどり着いた方法がこの”SAKE MUG STYLE”なのだ。ふと飲み屋でSAKE MUG STLYEの男と出会ったら、G氏かもしれない。そんなとき是非この”SAKE MUG STYLE”で彼と乾杯してあげてほしい。もしかすると我々が見ることができなかった彼の笑顔が見られるかもしれない。
(取材・文・写真 NSG)
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