日本で初の試みとなる「大学生日本酒サミット in 彦根」が2013年9月22日滋賀県立大学で開催された。昨今、全国で多く見られつつある大学による酒造りに目を付けたのが今回のサミットである。「日本酒を飲む機会が少ない若者に対して、日本酒のおいしさを伝えたいという思いで、日本酒づくりに取り組んでいます。」そう語る滋賀県立大学日本酒プロジェクトが全国各地の大学で同じ活動をしている仲間とともに日本酒の魅力をより広く発信していきたいという思いで企画された。滋賀県立大学プロジェクトに所属し、サミットの実行委員長を務めた河野将之さんにサミットへの想いを伺った。
大学生日本酒サミットin彦根の実行委員長を務める河野将之さん
-----まず滋賀県立大学日本酒プロジェクトに参加したきっかけを教えていただけますか?
河野将之さん(以下、河野) きっかけは大した話ではないんですけど、同じ部活動に所属している仲間に「一緒にやらへんか?」って誘われたのが始まりです。たまたま興味があったので、一度活動に参加してみることにしました。初めて参加したにも関わらず、喜多酒造の社長や教授を交えて話し合いを行ったのが凄く楽しかったんです。学生が「どのような人に売るのか?」とターゲットを決め、商品開発をさせて貰えたんです!
------即戦力ですね!
河野 そうなんです。こんな経験なかなかできないだろうなって感じたんで、このプロジェクトに正式参加することを決めました。
-----もともと日本酒への興味はあったのですか?
河野 はい!子供の頃から父が飲む日本酒の”ぽわ〜ん”とした香りが好きでした。またお正月に飲むお屠蘇(おとそ)も好きだったんです(笑)。成人してからお酒を飲むようになり日本酒って美味しいなって思ってました。そんなこともあってのプロジェクト参加だったんです。
-----そもそも日本酒プロジェクトの発足にはどのような経緯があったのでしょうか?
河野 3年前、滋賀県立大学の圃場で作られている”日本晴”という食用米を大学生協が売っていたのですが、それが余っていまして・・・。それを何とか消費することになりました。そこで生協の理事長をされている教授の増田先生が、「そのお米を使ってお酒を造りたい。」と喜多酒造の社長に話を持ちかけたことが始まりです。滋賀県立大学の学生・教職員有志と喜多酒造、大学生協でプロジェクトが発足しました。そして生まれたのが”湖風”という日本酒です。
日本晴で造られた大吟醸”湖風”
-----その”湖風”について詳しく教えていただけますか?
河野 湖風造りは3年前から始まりました(河野さんがプロジェクトに参加したのは2年前から)。初めて湖風を造るときは、参加している学生ほとんどが日本酒を飲んだことがないという状況だったと聞いています。喜多社長から「君たちはどういったお酒を造りたいの?」と言われ、そこでやはりターゲットを自分たちと同じ”学生や若い世代”にすることにしました。そんな”若い世代”に楽しんでもらえ、日本酒好きになってもらうキッカケになるように”飲みやすいお酒”を目指しました。また”湖風”は純米大吟醸なんですけど、だたプレミアム感を求めて”純米大吟醸”にしたわけではありません。喜多酒造の製品を本醸造、純米、吟醸、純米大吟醸を飲み比べてみて我々学生が一番”飲みやすい”と感じたのが”純米大吟醸”だったのです。
-----食用米で造られた大吟醸というのは珍しいですね
河野 最初はとても大変だったようです。湖風は精米歩合50%で仕込むのですが、日本晴は山田錦などの酒造好適米に比べ粒が小さいので「上手に削れるのか?」などの不安がありました。しかし県内でもトップクラスの技術力を持つ喜多酒造さんが私たちの無理難題を叶えてくれました。酵母の選定からラベルデザインにいたるまで全て学生が行いました。さらには大吟醸にもかかわらず四合瓶で1575円という低価格を実現していただき”湖風”は完成しました。
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