SAKEBI 美しい酒と若者の叫び

2013年11月号

潜入 厳夜祭 神戸大学日本酒サークル正宗会

2013年11月08日 02:06 by NextSakeGeneration

  神戸大学の学校祭(夜の部)として毎年開催される『厳夜祭』。『厳夜祭』は全国でも珍しい、酒類提供が可能な学校祭である。先日、滋賀県立大学で開催された大学生日本酒サミットにも参加されていた神戸大学日本酒サークル『正宗会』が(当然?)日本酒を提供するとの噂を聞きつけて、潜入取材することにした。

 記者が阪急六甲駅に到着したのは深夜0時半。「本当にこんな夜中に学校祭が行われているのか?」 と思わせるくらい人通りの無い道のりを歩くこと30分、ようやく神戸大学に到着した。構内に入るも物静かな雰囲気。「しまった!日付を勘違いしたか?」日付をまたいでいたこともあり、「もしや厳夜祭は前日に行われていたのでは」と焦る。すぐにtwitterで日程を確認するが、日程に間違いは無くホッと一安心。しかしこの異様な程の静けさは一体どうなっているのだろう?大学構内をしばらく進むとようやく学生らしき人影が見えてきた。不気味な程の物静けさに対する不安感を抱きつつ建物に入るとようやく学校祭らしい賑わった風景が広がった。

珍しい夜の学祭

 この静けさの原因は、夜中に開催する学園祭の近隣に対する十分な配慮によるものだった。夜中に開催し、さらに飲酒可能という自由な学校祭は、ルールはもちろんマナーも守ることができる意識の高い学生ならではのこと。「さすが神戸大学」この一言に尽きる。

 午前1時、会場に到着。のれんの向こう側から談笑する声が聞こえる。教室(店?)に入るとほとんどの席が埋まっていた。教室内の正宗会のブースには日本酒を求める学生と説明をする正宗会のメンバーでごった返していた。「自分たちと同じ立場である大学生にもっと日本酒を飲んでもらいたい!そのために、自分たちがまず日本酒に関する知識をつけ、日本酒ってそんなに難しくないということを伝えたい」と語るのは代表の末澤さん。

 

 壁には日本酒に関する様々な知識や商品&蔵元の説明が掲示されていた。日本酒のタイプ分類表には用意された日本酒が貼付けられており、飲みたい酒のタイプが一目でわかるようになっている。

 日本酒のラインナップは部員が各自で買ってきたものや酒造会社の協賛からなり様々な種類が用意されていたようだ。価格は1種類(45ml)200円or3種類(各30ml)400円から選ぶことができる。全ての日本酒が同じ価格で提供され、中には一升瓶で一万円を超える商品も提供しているというのだから驚きだ。残念なことに、記者が訪れた午前1時頃には当初用意されていた400人分の日本酒が売れ切れ、代表の末澤さんが所持する日本酒を商品として提供している状態だった。日本酒にはそれぞれに名刺があり、お客さんが感想を記入出来るようになっている。これは、お客さんが「自分が飲んだ日本酒を忘れないように」という意味が込められているそうだ。この名刺によって、今後の人生において”アントキノサケ”が思い出すことができる、なんとも優れものだ。


 正宗会の創設者で初代代表の山口さんは商品説明の傍ら、自ら燗付けを行ってくれた。筆者も「剣菱」を注文することにした。温度変化による微妙な味の違いを説明していただき、山口さんが最適だと確信した温度「45℃」で頂くことに。甘味がふくらみ熟成感が少し落ち着いているように感じた。微細な温度にこだわる燗酒の提供は日本酒専門店さながらである。しっかりと商品の説明と飲み方の提案ができるとは、大学のサークルのレベルを超えているのではないだろうか。恐るべし正宗会。

 

 午前2時、当初のラインナップに加え、急遽の商品の合計500人分の日本酒がすべて完売した。代表の末澤さんは「予想以上の来客数に驚いている」と日本酒の人気に手応えを感じている様子だった。今回の厳夜祭、筆者が痛感した事は正宗会が持つ日本酒への情熱である。彼らの日本酒に対する熱い情熱が500人もの人を惹き付け、熱気を生み出し、大成功を導いたのだろう。日本酒の海外進出は増え続けてはいるが、国内では相変わらず若者の日本酒離れが叫ばれており、まだまだ業界は曇天続きである。しかし、彼らの活動はそんな雲と雲の間に見える晴れ間のようだと感じた。彼らのような若い力で日本酒業界にたれ込める暗雲を吹き飛ばし、明るい光を照らしてほしいものだ。熱い情熱を持って日本酒の魅力を若者に伝えてくれる正宗会の今後の活躍に期待したい。

(写真・取材 NSG編集部)


 参考サイト

神戸大学日本酒サークル正宗会




 


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