SAKEBI 美しい酒と若者の叫び

2013年9月号

インタビュー 古川恵美佳(管理栄養士・料理家)

2013年08月26日 21:05 by NextSakeGeneration
2013年08月26日 21:05 by NextSakeGeneration

 今年の7月に渋谷playroomにてA-SONIC vol.1が開催された。そこで料理を担当してくれた管理栄養士で料理家の古川恵美佳氏について今回は取り上げたい。日本人にはなじみのある調味料として使われる味噌と醤油を使いながらも”麻生醤油酒造場”ならではの味わいを引き出す料理を考案した古川氏。その光景を目の当たりにした我々NSG取材班は古川氏の料理に対する強い想いを肌で感じることができた。今回はそんなバイタリティ溢れる古川氏の料理への想い、そしてその原動力に迫ってみた。

 

考案した料理を笑顔で調理する古川氏

-----現在、管理栄養士・料理家として活躍されているとのことですが、料理に関わる仕事に就こうと思ったきっかけは?

古川恵美佳(以下、古川):単純に、料理が好きで食べることも好き、食いしん坊なんですね。そもそもそうなったのは、料理が得意な母の影響です。小さな頃から台所で母のお手伝いをするのが好きでしたね。タマネギを刻んでよく泣いていました。私には体の弱い兄がいて、母はその兄のために、自然の素材を活かした調理をしていました。化学調味料などはほとんど使わず、出汁も昆布や鰹できちんととり、野菜中心のバランスのとれた食事をしていました。そんな家庭で育ったため自然と「健康」と「食」に関係する仕事に就きたいと思うようになったんです。そこでまず、管理栄養士の資格をとりました。その知識を活かした上で、食べてくれる人が笑顔になるような、美しくて健康に良い食事を作りたいと思い、この仕事を選びました。

-----古川さんは仕事としての料理の他に、自身で考えたレシピもwebで公開されていますが、どのような時にレシピを思いつきますか?

古川:食材を見たときに自分の舌が持つ記憶を辿ると、色々なレシピが思い浮かびます。まだまだ勉強中ですので、実際にその思い浮かんだレシピを試行錯誤しながら作り上げています。失敗することの方が多いんですけどね(笑)。

-----自宅でも料理をされていると思いますが、仕事とプライベートでの料理の違いはありますか?

古川:両方美味しく作りたいっていう気持ちはありますが、仕事の料理は売り物ですからね。味付け、食材のカットの仕方、色合い・・・細部まで気を遣います。とにかく仕事では「どうやったらお客様に喜んでもらえるか、満足していただけるか」を第一に考えています。

-----仕事で料理をしていて辛いと思うようなことはありますか?

古川:厨房が暑いこと、重い荷物や食材を運ぶことですね(苦笑)。でも、それくらいの苦労は厭いません。食材の重さがお客様の数の”証”ですし、厨房に立てること自体が、お客様を笑顔にできるチャンスだと思っていますし。

-----自分の仕事に不満や疑問を持ちながら働いている人もいると思いますが、仕事の辛さがほとんどないとは、まさに天職ですね。

古川:もちろん私も、料理家としてこれからどのようにしていくか、悩むこともあります。しかし、仕事をするなら料理に携わりたいです。

-----同業者の方で憧れているような人はいますか?

 古川:沢山います!知恵を絞った簡単で美味しい料理を、さっと考え出せる料理研究家の方々、素晴らしいですね。他にも尊敬する料理人の方がいまして・・・日本料理では京都菊乃井の村田吉弘さん。日本の「うま味」の素晴らしさを世界に広めた方です。フランス料理では箱根オーベルジュ・オー・ミラドーの勝又登さん。地元の野菜をふんだんに使ったフレンチは絶品でした。

 -----そんな憧れを持ちつつ、自身もプロの料理家として一番心がけていることは何ですか?

古川:一品一品、心をこめて作り上げるということです。これは当たり前のことなんですけどね。忙しくなってしまうと、つい「作業」になってしまいがちになる。でも、私の仕事は「作業」でなく「料理」をすること。お客様が喜んでくれるような料理を作れるように、一品一品、お客様の食べているところを想像しながら丁寧に料理をするように心がけています。

-----将来の目標は?

古川:将来の目標は地元に料理店を出すことです。地元の農家の野菜や、学生時代の友人の作った作物を使い、美味しい料理を作って、お客様を笑顔にしたいですね。料理人として、生産者とお客様の架け橋になりたいと思っています。「素材を活かした自然な料理で、食べた人を心から喜ばせられる」そんな料理人を目指して、これからも日々精進していきす。

 

 好きなことを話すとき、人は自然と笑顔になるのだろうか。大きな目標を持って生きている人特有の輝きを放ちながら、古川氏は笑顔でハキハキと我々の質問に答えてくれた。実際に彼女から直接聞くことができた「料理への想い」から察するに、やはり我々がA-SONIC vol.1で感じたことは間違っていなかった。今後もひたむきに目標に向かっていくであろう古川氏。彼女がどんなに多忙になろうともNSGの専属料理人的存在であってくれることを我々は密かに祈っている。

(取材・文 NextSakeGeneration 編集部 写真 粟飯原洋貴)

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