まだ明けきらない、朝の住宅地の暗闇の中に、一軒の灯りがある。
豆腐屋だ。
その中では、黙々と作業を進める人たちがいる。
深い夜の住宅地を歩き回る馬鹿がいる。
僕たちである。
虚ろな目で次の居酒屋を目指している。
もう僕らの他にはお客のいない店の中でテレビの音が聞こえる。
酒を口に運ぶことさえ億劫になる。
どこにいるのかさえ忘れてしまいそうになる。
店を出て歩いていくと豆腐屋の灯りが見える、何気なく覗く店の中では働く人たちの姿が見えた。
既に朝を迎えている人たちがいる、それは恐らく規則的で誠実で、堅固なものだろう。
なのに僕らは未だに続く今日を引きずっている。
重く、長く、そして粘着質な影を背中からずるずると引きずりながら歩いている。
僕たちの今日は不確実で不健全だ。
誰もいないだろうと赤信号をわたる。
急に寒さが身にしみる。
はっきりしない頭で帰り道をただ歩く。
もう少しでやっと今日が終わるのだ。
ありゃまくん:単なるの酒飲み、21歳。
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