だんだんと朝晩の気温が下がってきて過ごしやすくなってきた。外では鈴虫が鳴き始め、夏の終わりを寂しく思いながらも秋の訪れに心を躍らせている(なんてったって秋はおいしいものがいっぱい!)。そんな筆者に秋を感じさせる言葉がもう一つ・・・「ひやおろし」だ。
向井酒造「京の春ひやおろし」
さて「ひやおろしって何?」という方に簡単に説明すると、「ひやおろし」とは冬の間につくられたお酒を火入れ(加熱処理)し、蔵内で貯蔵・熟成させ、夏を超えて気温が下がった時に瓶詰めして出荷するお酒のことである。
日本酒というのは通常、貯蔵前と瓶詰め前の2回火入れを行うが、ひやおろしの場合は貯蔵前に1度火入れを行うだけで、瓶詰め時には行わない(この火入れの回数・時期によって、「生生」、「生貯」、「生詰め」なんて呼ばれる訳だが、その話はまた今度)。そして、”生(ひや)で出荷される”こと、”夏が終わり冷える季節に出荷される(酒問屋に卸される)”ことから「ひやおろし(冷卸し)」と呼ぶようになったそうな。一般的な味わいの違いとしては、造りたて(搾りたて)の新酒がフレッシュで荒々しいのに対して、熟成されるとまろやかでふくらみのある味わいになると言われている。とんがってた小僧が一夏を超えて大人になる訳だ。
読者の皆さんも、秋刀魚や戻りカツオ、秋鮭などと一緒に秋のお酒「ひやおろし」を楽しんでみてはいかがでしょう。(想像しただけでよだれが出る・・・)
(写真・文=NSG)
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